十二年籠山行者 宮本祖豊師から学ぶこと 前編

先日、十二年籠山満行僧である宮本祖豊師の貴重なお話を聞くことができました。
「比叡山の修行 ~困難に打ち勝つ方法~」と題して、想像を絶するような修行について、それをもって困難に打ち勝つために何を考え、どのように長い年月を過ごしたのか。はたまた我々も日々苦しいことに打ち勝つためにはどのような心持でいればよいのか、といったことを軽快なテンポで話してくださり、大変惹きつけられました。

宮本師の崇高なまでの存在感とご自身の口から発せられる言葉の数々は大変に力強く、勇気と希望を与えてくれました。よって、このブログを読んでくださる皆さまにも少しでも宮本師のお言葉をお届けできればと思います。但し、お伝えしたいことが沢山あるので、二回に分けてご紹介いたしますね。

まず、十二年籠山行(じゅうにねんろうざんぎょう)とは天台宗の宗祖伝教大師最澄様があたかも生きていらっしゃるかのように、十二年間お仕えする行です。但し、その行に入る前には好相行(こうそうぎょう)といって、仏様のお姿を心と体の両方の眼で観ることができるまで、ただひたすらに三千もの仏様の名をお唱えし、一日三千回の礼拝を続けるというものです。その間には精神と肉体の限界ぎりぎりのところを何度も乗り越えていかなければならず、不眠不臥で行うそれがどのようなものなのか、その実体験を伺うと恐ろしくなるような、想像を絶する厳しいものでした。
最近よくメディアに取り上げられる千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)も厳しい修行のひとつで、千日回峰行が「動」の行と例えられるのに対して十二年籠山行は「静」の行と言われています。その行者をもってしても「あの行は厳しい。とてもできるものではない。」と言わしめ、比叡山で最も厳しい行だそうです。
そんな十二年籠山行の入り口である好相行を三年程で終えられ、いよいよ最澄様の魂にお仕えする行者「侍真(じしん)」となった宮本師はその後、後任の行者と交代するまで二十年に亘り、行を続けられました。

十二年籠山行に入られてからは、最澄様のご遺体が安置されている浄土院において、朝夕のお勤めや献膳、供養や清掃などをし、夜は仏教の勉強や坐禅などして過ごされるそうです。一言で清掃と言っても、それは単なる清掃ではありません。「比叡山の三大地獄」と言われる「掃除地獄」。山中の浄土院の境内で掃いても掃いても舞い落ちる枯れ葉、自然相手に塵ひとつないように掃除をするとは。ただの重労働というだけではなく、静寂のなかわずかな物音にも心が揺らぎ、神経をすり減らす作業だそうです。外界から閉ざされ、湿気も多く日当たりも悪い厳しい環境のもと、戒律を守りながら一日たりとも欠かすことなく同じことを続ける。これがどれほど孤独で過酷なものか。それが「静」の行と言われる所以なのだと分かりました。

「毎日毎日同じことを続けることで、悟りをひらくのだ」とは、最澄様のお言葉だそうです。

悟りをひらくというほどではありませんが、来る日も来る日も同じことを続けるということはどんな些細なことでもなかなか難しいことです。食べる物ひとつとっても、毎日同じものを摂り続けることは簡単なようで実はとても大変なこと。國分寺のお檀家さんで、最期まで元気で天寿を全うされた方がおられました。その方に健康の秘訣を尋ねたところ、決まった時間に食事を摂り、朝食はメニューもその分量も毎朝きっちり同じもの。同じものを食べることによって、その日の自分の体調を知ることができるのだと教えてくれました。
継続することで得られるもののひとつに「自信」があります。子供の決まったお手伝いでも、長く続ける仕事でも、何かひとつのことをある期間し続けることができたとき、達成感を覚え、それが自信となって次なるものへの挑戦、原動力となるのです。
何につけても若干の変化がないと継続することは難しい、と聞いたことがあります。その単調さを超えた先にみえてくるもの、得られるものがあるのだと感じました。

  つづく・・・

少しご無沙汰してしまいました。
今日で9月も終わり、日中の暑さはまだ続くものの、夜は心地よい虫の音が聞こえてきます。

夏の疲れがでたのか、名誉住職さんも少し体調を崩されたこともありましたが、
今は元気になって境内の花々を愛でています。

来月11日には弁天様のおまつりがあり、護摩を焚いたり、バイオリンの奉納演奏やおぜんざいの接待もあります。

弁天様にお参りいただいて、境内の愛らしい秋の草花や名誉住職さんにも会いにお越しください。

夏の盛り、暑中お見舞い申し上げます

岡山も連日35度を超えるような酷暑が続いています。
外は目がくらむような暑さ、しかし家の中にいても知らないうちに熱中症になってしまうそうなので、十分に注意が必要です。
皆さま、くれぐれもお気をつけくださいね。

さて、7月30日は先々代の住職である孝円和尚の命日でした。
当時にしては珍しいほどの猛暑日だったそうです。
それから42年が経ち、孫の私たちが耳にするのは「書が堪能で、優しくて、とても綺麗なお顔立のお坊さん」だということです。
そして明治の気質そのもののお坊さんだったようです。

お盆も近づいてまいりました。
誰もがもつご先祖様。
お墓だけではなく、お仏壇や家のなか、心の在り様も綺麗に磨いて、ご先祖様が戻ってこられるのを待ちましょう。

珍しいお客様

梅雨明けした津山では、気温が高く蒸し暑い日が続いています。
お寺では檀家さんの家を一軒一軒訪ねて、各家のご先祖様を供養する夏のお参りも始まりました。
お盆、施餓鬼法要と大事な行事が八月下旬まで続きます。

最近では体力勝負、寺内一同十分に気をつけながら、この夏を乗り切れるよう頑張っています。
みなさまも、くれぐれも気をつけてお過ごしくださいね。

さて先日、遠いところからお客様が来られました。

なんと...インドからです!

16歳~35歳の五人の方が比叡山を始め、各地のお寺を巡りながら一ヶ月以上、滞在されるそうです。

まずみんなで般若心経をお唱えし、続いてインドの子ども達がパーリー語でお経を唱えてくれました。

その後は、わたがしを作って食べたり、片言の英語でお互いの学校のことや好きなことなどを話しました。

時間が経つにつれ段々と打ち解けてきて、日本の遊びとインドの遊びを教えあったり、その頃には笑顔もあふれてすっかり仲良くなりました。

最後には連絡先を交換し、「必ずまた会おう、それまで元気に幸せな毎日を送ってね!」と見送りました。

仏さまのご縁でつながったインドと日本の子ども達。きっとその後の人生にも少なからず影響を与える、貴重な出会いになったことは間違いありません。

お天気のおかげで

今日は一昨日の強風で泥まみれになった廊下やお堂を掃除しました。

爽やかな気持ちの良い日だったので動きやすく、終わった頃には私たちの体も気持ちもスッキリ!

正直なところ酷暑の夏、厳寒の冬には体力的にも気分的にも辛い時が多々ありますので、いつもこんなお天気だともっと掃除できるのになぁ…なんて。

そして今年の春は早いうちから暑い日が続き、境内の草も強力、格闘の日々です。

腰や指先が痛くなり、暑くてもうやめたい…と思いながらも、ふと顔を上げた時に見る草花や空。

朝夕に表情を変える姿は、疲れを吹き飛ばしてくれます。


日差しを受けて華やかに咲く芍薬


赤紫と緑の対比は鮮やかに境内を彩っています


夕方になり、花びらが少し閉じた感じもいいですね

桜も笑顔も満開の


「良いお顔をご本尊様に見てもらいましょう」


「(・_・D フムフム」


「お花も聞き耳を立てています」


「桜もいろいろな種類がありますね」


「水仙、スミレ、ムスカリ、桜など一斉に花が咲き百花繚乱の境内です」

四月一日、総代会を開催しました。

今年も総代全員で笑顔で記念写真を撮ることができ、仏様の前で人様のお役に立てるよう誓いました。これも数十年来の行事です。

新年度に向かって一同力を合わせて頑張ってまいります。

お彼岸

今日はお彼岸の中日です。

春分の日、祝日ということで雨のなかですが、朝からみなさんお墓参りに来られています。

きれいなお花のお供えをいただきました。

馥郁(ふくいく)たる立ち姿です。


少し前にいただいた桜はすでに満開。
お客様の目を楽しませてくれています。


花が開いて、良い香りにお堂が包まれるのが楽しみです。

記念すべき第30回!

今年も無事に比叡山参りが終わりました。
記念すべき第30回目のお参りということで、比叡山大護摩法要の後は奈良の興福寺にもお参りし、国宝を間近に拝ませていただきました。
阿修羅像はとても美しく、心を奪われるようでした。
内容盛りだくさんの今回のお参りで、たくさんのおかげを受けて帰路につきました。


大型バス二台で出発しました。


何年ぶりかの再会など、嬉しい驚きも。


今年は冷たい風が吹くなかでの法要でした。


全国から千人を超す人々が集まります。


甘酒と芋煮のお接待を受けて体を温め、おかげをいただきます。



今年の昼食は30回記念で鰻をいただきました。




奈良の興福寺。


仲良く男子会?


みんな元気に帰ってきました。お疲れ様でした。

雪の境内


冬らしい雪景色です

先週末はとても寒くこの辺りでも雪となりましたが、もう節分の季節です。

福は内、鬼も内の気持ちで春を待ちましょう。

受験生もそろそろ進路が決まる頃。

皆さまにたくさんの福がきますように!

あけましておめでとうございます

みなさま、一年の始まりを清々しい気持ちでお迎えのことと存じます。

今年も佳き年となりますよう、お祈りいたします。

亥年生まれの私、この一年猛進して参ります。
どうぞ宜しくお願いいたします。

住職 田 中 孝 楓