歴史を刻む木桶

連日の猛暑のなか、夏のお参りが始まりました。
各家のご先祖供養、初盆供養、そして八月には施餓鬼供養法要が行われます。

春先のこと、この法要で使われる道具の修繕をお願いしていたのがついに出来上がったとの連絡をいただき、取りに伺いました。
場所は歩いて二、三分のご近所、米山さん宅。お願いしたのは國分寺の檀家さんで、ご存知の方も多いと思いますが木工作家「ヨネモノ」の米山彰彦さんです。
施餓鬼法要のなかの餓鬼供養で使われる大切な桶の修繕を昨年よりお願いしていました。

この桶は餓鬼に施すご飯の器として優に100年ぐらいは使われてきたものです。まさにタガが外れて、乾くとバラバラ状態。数年前にはある役員さんが工夫して少し直してくださった年もありましたが、もうどうにもならない状態まで経年劣化が進んでしまいました。どうにかして修繕できないものかと思案していたところ、木工の匠である米山さんに相談してみようということになり、この桶の歴史をよく知る孝月さんを先頭に工房をお訪ねしてみたのが昨年の秋頃のことでした。

江戸時代から続く伝統ある「施餓鬼法要」についても熱心に耳を傾け、法要で大事な役割を果たすこの桶の用途についてもよく理解してくださり、「なんとかやってみます」と引き受けてくださいました。
出来上がりを見せてもらったときには一同感動!見事に甦り、八月の法要の際には大切な役目をしっかりと果たしてくれることと思います。

また、米山さんはこのような先祖供養の法要が長い歴史のなかずっと続いてきたことに驚かれ、興味をもたれたようです。
こうやって若い方がお寺の伝統的な行事についてより深く知っていかれることも嬉しく思いました。

今年も檀家のみなさまの想いを届けるべくこの桶に沢山の仏飯をお供えし、供養します。
ヨネモノさんの素晴らしい技術が加わり、新たな歴史を刻んでいく木桶。ぜひお参りの際にはご覧ください。

ヨネモノさん、この先また百年以上、長く大切に使わせていただきます。
ありがとうございました。

ヨネモノさんのホームページはこちらです
https://yonemono.com/




名誉住職さんの揮毫




工房には素敵な作品が


心地よい空間には作品だけでなく各国より集められたコレクションも