秋の弁天まつり 2025

10月27日、秋の弁天まつりが盛大に執り行われました。
巳年の今年は、「つちのと巳」という弁天様のお力を存分にいただける日でした。沢山のご利益がある中でも今年は特に金運が高まり、芸術を嗜むことで更にそのパワーがアップするという最強の日、まさに國分寺の弁天まつり法要にぴったりの日となりました。
日常から少し離れお経やご詠歌、ヴァイオリンの演奏など、種々の妙音を弁天様にお供えし、共に味わうことができました。





今年はご詠歌法要にし、まずは孝月さん先導のもと「七福神和讃」というご詠歌をお唱えして弁天様をお迎えしました。
ご詠歌を初めて聞く方も多い中、皆さん自然と一緒に口ずさんでおられました。そして弁天様の徳をお讃えする「弁財天女品」(べんざいてんにょぼん)をいつものように全員でお唱えしました。







今年も皆さんが心待ちにしていたヴァイオリンの奉納演奏。
『バッハとヘンデル生誕 340年 によせて バロック音楽の巨匠たちの音楽』というテーマのもと、三名の奏者による素晴らしい演奏をお供えしてくださいました。

恒例となっているこの奉納演奏では、毎年感じることが違います。去年はブログ(2024,10/23 掲載)にも書きましたが、ひと言でいうと「歓喜」という言葉で表されるような選曲と演奏でした。

一方、今年は全体的に「悲哀」とか「哀愁」というような印象を受けました。きっと誰しもが大なり小なり心の奥深くにもっているであろう悲しみや切なさ、さらには人生の儚さや無常さをも感じさせるようなものでした。
物悲しく響くヴァイオリンと優しく包み込んでくれるようなピアノの音色を聴きながら、大切な人を想ったり内省したり。誰もが自分の世界に入り込んでいるような気がしました。それは自己との対話の時間でもあったのではないでしょうか。

演奏後、ヴァイオリニストの神田恭子さんがある曲について、次のようにお話しされました。

「なぜこのような悲しい曲を弾くのかと考えたとき、生きていれば悲しいこと辛いことがあって、そんな気持ちを弾き手と聴き手が一緒に昇華させていくのではないか、いろいろな思いを昇華させるために悲しく陰鬱な曲を弾くのかなと思います。それはお経と同じなのかもしれません。そして暗い曲なのに最後は明るい和音で終わるのです。」

その言葉をお聞きして、本当にその通りだと納得がいきました。奏者と聴衆が同じような気持ちでいたことも嬉しく、まさに「音」の神様である弁天さまと音楽によって繋がれたような気がしました。そして曲の最後が明るく終わるように、我々にも希望や明るい未来があるのだと、感じさせてくれました。

昨年の活気に満ちた歓喜の音とはまた違う、しっとりとした気高い美しさの音色、そして悲哀に満ちた迫力ある演奏を、それぞれに想いを馳せながら味わった秋の弁天まつりでした。






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