お盆に想うこと

厳暑お見舞い申し上げます。

長い梅雨が明けたとたん、猛暑日が続いています。
コロナ感染に気を配りながらのこの暑さは大変ですが、みなさま十分に気をつけて、けして無理をせずお過ごしください。
その日何もできなくても、何事もなく一日を終えられることは、それだけでとても幸せなことです。

さて、先月30日は國分寺102世住職、孝円和尚さんのご命日でしたので、内仏殿に寺族が集まりご回向をしました。

お唱えしたお経は「阿弥陀経」。
これは阿弥陀様の世界と阿弥陀様の功徳について説かれているお経です。
フリガナがついていますが、僧侶の勉強をしていない者にとって、お坊さん達について一緒にお唱えするのは大人でも難しいことです。
孝円和尚さんにとってはひ孫となる子供達も一生懸命お唱えし、そして孝照和尚さんから当時の話を聞かせてもらいました。

昭和52年の夏、檀務から戻られた孝円和尚さんは急に具合が悪くなられ、即入院となりました。
その年の夏は大そう暑い夏で、付きっきりで看病していた孝照和尚さんは、少しでも暑さが和らげばと氷柱を二本買ってきて病室に建てたそうです。
入院して5日目の夜、孝円和尚さんは「(國分寺を)頼むぞ、頼むぞ」と何度も繰り返し、遷化されました。
以来約50年、孝照和尚さんはその言葉を胸に、國分寺住職としての務めを果たしてきました。
自ら運んだ氷柱の重さとその言葉が忘れられない、と今でもよく話しておられます。

もうじき来るお盆は、子や孫にご先祖様のことを伝えていく良い機会です。
会ったことのないご先祖様のいろいろなエピソードを聞くうちに、沢山の命が繋がれて今ここに自分がいるのだ、ということにも気づいていくのではないでしょうか。
すると、今目の前にいる親や兄弟、家族を大事にし、自分自身を大切に思える。
その繰り返しで、我々の命や魂は受け継がれていくのだと、そんなことを考える暑い夏の夜です。